読書の木
もうすっかり「読書の秋」の季節。
ARDOURの2Fの片隅に、“読書の木”が登場しました。
一枝ごとに、スタッフが1冊1冊セレクトした文庫本が実っています。
通勤のちょっとした時間や、眠る前の穏やかなひと時を、そっと彩る物語たち。
天気のいい日には、本をポケットに カバンに 入れて連れ出して下さい。
1本の木から、1冊の本とじっくり向き合う、豊かな時間をお届けします。
今日はその中から一冊ご紹介します。
『倚りかからず』 茨木のり子
強い意志とナイーブな感性によって紡がれた 詩人:茨木のり子の詩集です。
茨木さんは 木の実が生るように、詩は「生る」ものだと仰ったのだそう。
詩によって生るまでの時間は異なりますが、
表題作「倚りかからず」が生るには 40年余りの歳月が費やされました。
もはや
できあいの思想には倚りかかりたくない
・
・
・
じぶんの耳目
じぶんの二本足のみで立っていて
なに不都合のことやある
倚りかかるとすれば
それは
椅子の背もたれだけ 「倚りかからず」より
言葉の向こう側で 背中をぐいぐい押してくれるような 茨木さんの詩。
代表作「自分の感受性くらい」にみられるように
時間をかけて不要な言葉を削り、生み出された茨木さんの詩には
強い言葉が並ぶものが多く、茨木さん自身の意志の強さが現われています。
その強い言葉の中に、少しのぞく お茶目な一面が 彼女の詩の魅力なのかもしれません。
茨木のり子
(1926-2006)大阪に生まれる。1953年、詩学研究会に投稿していた川崎洋と詩誌『櫂』を創刊。
1976年より韓国語を学び始める。詩集に『見えない配達夫』『鎮魂歌』『自分の感受性くらい』『寸志』『歳月』、
エッセイ集に『詩のこころを読む』『ハングルへの旅』『一本の茎の上に』などがある。(本書 作者紹介より)
本の中には すてきな言葉がたくさん隠れています。
文庫本を手にした方の すきまの時間が ちょっと豊かになるように、の願いを込めた
ARDOURの“読書の木”です。
-モモ-
by ardour
| 2013-09-15 21:05
| アーダの暮らし棚。